まず、設計の工夫によって両立を実現する方法があります。
耐震性能を高めるためには、必要充分な耐震部材(耐力壁等)や制震部材(制震壁等)を入れなければなりませんが、この壁の配置を工夫することで快適性との両立を図ることが考えられます。
たとえば、住まいの外周部分に耐力壁や制震壁を集中させると、当然、窓などの開口スペースは確保しにくくなってしまいます。そこで外周部の耐力壁や制震壁を室内の間仕切り壁などに振り分けて、窓を広く取れるようにします。ただし、壁(耐力壁、制震壁等)の配置は、どのように変えても良いわけではありません。緻密な構造計算を行なって、必要充分な耐震性能が確保されるかをチェックすることが大前提となります。
実際の地震では前後・左右・上下など、あらゆる方向から力が加わることがありますから、住まい全体で耐力壁や制震壁がバランス良く配置されるように設計してこそ、耐震性と快適性の両立が実現可能となるわけです。
耐力壁や制震壁の配置場所が少なくて済む構法を用いる方法もあります。
最近、注目されているのが、耐力壁や制震壁の配置場所を少なくしても必要充分な耐震・制震性能が確保できる新しい構法です。これは"耐力壁と制震壁"や"耐力壁と耐力壁"を同じ位置に重ねて配置する方法で、積水ハウスでは「ハイブリッド シーカス」「高性能二重耐力壁」と呼んでいます。
単純に必要な壁の量が半分になるわけではありませんが、高い耐震・制震性能を維持しながら窓を大きく確保したり、室内の間仕切り壁を減らすことが可能になります。安全・安心をしっかりと維持しながら、大きな窓や大空間などの憧れの住まいが建てられるなど、プランの自由度が大幅に高めることができます。